1 労働組合の法定監査
公認会計士監査は、独立した第三者として企業等の財務情報について監査を行い、財務情報の適正性を利害関係者に対して保証する役割を果たします。公認会計士監査は様々な法令によって企業及び団体に義務付けられ、会計情報の信頼性確保に役立てられています。
「労働組合法」第5条第2項第7号において、「すべての財源 及び使途、主要な寄附者の氏名並びに現在の経理状況を示す会計報告は、組合員に よって委嘱された職業的に資格がある会計監査人による正確であることの証明書 とともに、少なくとも毎年一回組合員に公表されること。」と定められており、労働組合法上の労働組合は職業的に資格がある会計監査人による監査を受けなけれ ばなりません。
特定独立行政法人等及び地方公営企業の職員で構成する労働組合に対しては、この労働組合法の外部監査の規定が適用されています。
さらに、国家公務員及び地方公務員の職員団体については、労働組合法が適用除外とされていますが、その職員団体が法人格を取得する場合は、公認会計士又は監査法人の監査証明を受けることが必要です。 したがって、これらの法律に基づく職員団体も法人格を取得する場合には、職業的に資格がある会計監査人による監査を受けなければなりません。
労働組合の計算書類は、広範囲の利用者に共通する財務情報に対するニーズを満たすことを目的として 作成されるものではなく、特定の利用者の財務情報に対するニーズを満たすことを目的として作成されるものです。
労働組合が準拠する会計基準として広く採用されている公益法人委員会報告第5号「労働組合会計基準」(昭和60年10月8日 日本公認会計士協会。以下「労働組合会計基準」という。)は、特定の利用者(組合員)の財務情報に対するニーズ(会計報告)を満たすことを目的とした計算書類の作成において適用される財務報告の枠組みとして受入可能なものであると判断されています。
また、上記基準を適用していない場合でも、組合において独自に定めた会計規程が組合員に対する会計報告としての目的適合性、理解可能性及び客観性等の要件を満たしており、適用される財務報告の枠組みが受入可能なものであると判断されることがあります。