社会福祉法人へのサービス

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1 社会福祉法人制度改革

平成28年3月31日、第190回国会において、「社会福祉法等の一部を改正する法律」が成立し、懸案の社会福祉法人制度改革に係る法案が確定し、同日公布となりました。

社会福祉法人制度改革について、平成27年2月の「社会保障審議会福祉部会報告書」では、次のような提言がなされており、提出された法案はこの方向で作成されています。

1-1 基本的な視点

以下の3点を制度改革の基本的な視点としています。

  1. 公益性・非営利性の徹底
  2. 国民に対する説明責任
  3. 地域社会への貢献

1-2 経営組織の在り方の見直し

経営組織のガバナンスの強化のために、内部管理を強化(機関の明確化)し、外部機関による会計監査を導入されます。

  1. 理事・・・・・理事の義務と責任を法律上明記する
  2. 代表理事・・・・・代表権を有する者として位置付け、権限と義務を法律上明記する
  3. 理事会・・・・・法人の業務執行に関する意思決定機関として位置付け、その権限を法律上明記する
  4. 評議員会・・・・・必置とし、議決機関として法律上位置付ける
  5. 評議員・・・・・評議員の権限・責任を法律上明記する
  6. 監事・・・・・監事の義務と責任を法律上明記する
  7. 会計監査人・・・・・一定規模以上の法人に対して、会計監査人による監査を法律上義務付ける

1-3 組織の透明性の確保

情報開示範囲の拡大し、その運営を社会的監視の下に置くことにより、適正な法人運営を担保するとともに、国民に対する説明責任を果たすよう求められます。

1-4 適正かつ公正な支出管理

高い公益性と非営利性にふさわしい財務規律を確立する必要があり、社会的要請の強い「適正かつ公正な支出管理」として、以下の事項に取り組むことになります。

  1. 適正な役員報酬を担保するための役員報酬基準の策定と公表等
  2. 関係者への特別の利益供与の禁止と関連当事者との取引内容の公表
  3. 会計監査人の設置を含む外部監査の活用

1-5 地域における公益的な取り組みの責務

社会福祉法人は、社会福祉事業に係る福祉サービスの供給確保の中心的役割を果たすだけでなく、既存の制度の対象とならないサービスに対応していくことを本旨とする法人とされます。そのため地域における公益的な取組を実施する責務を求められます。

  1. 「地域協議会」による地域の福祉ニーズの反映

1-6 内部留保の明確化と福祉サービスへの再投下

内部留保の実態を明らかにし、適切に活用する仕組みを作ることとされています。

  1. 事業継続に最低限必要な財産の額を「控除対象財産計算書」により計算し、それ以外の財産を福祉サービスに再投下すべき財産額と位置づけ、内部留保を明確化する
  2. 「再投下すべき財産額」を福祉サービスへ計画的に再投下することを求める(再投下計画

1-7 行政の役割と関与の在り方

  1. 指導監督の機能強化

2 社会福祉法人会計、税務の特殊性

2-1 社会福祉法人会計の基本的性格

社会福祉法人会計基準は、平成23年に改正され、遅くとも平成27年年度までに新基準への移行が求められています。厚生労働省3局長連名の通知として設定されており、行政当局による社会福祉法人管理のための会計基準という基本的な性格をもっています。ただし、法人全体の財務状況を明らかにし、経営分析を可能とするとともに、外部への情報公開に資することを意識して作成されているため企業会計の手法も一部取り入れています。

2-2 社会福祉法人会計の特殊性

新基準導入以前は、施設の種類や事業の種類ごとに会計基準が設定されており、同一の法人の中にも様々な会計ルールが併存しており、法人全体の財務諸表を作成できない状況でした。新基準ではすべての社会福祉法人の施設や事業に新基準を統一的に適用するものとされ、法人で一つの会計単位となりました。しかしながら非営利会計基準としての特徴を持つほか、社会福祉法人管理のための会計基準としてのも性格も加わり、新会計基準においても依然として以下のような特殊な性格を有しています。

  1. もともと非営利団体は、利益の獲得を目的としませんので、どういった財源があったか、その財源をどういった目的でどのように使ったかを詳細に開示することが求められます。
  2. その基本的な性格に加え、行政当局独自の管理目的が加わり、収入や支出、収益や費用の勘定科目を詳細に定型化、標準化しています。
  3. 法人全体のほか、社会福祉事業、公益事業、収益事業という事業を会計単位とするほか、拠点区分及びサービス区分も会計単位として、事業別・拠点別・サービス区分別の損益計算書(事業活動計算書)、資金収支計算書及び貸借対照表を作成します。
  4. 社会福祉事業を継続するために、維持しなければならない額として、純資産の部に基本金という特殊な概念をもうけています。また、施設設備整備のために交付を受けた国庫補助金を資本の部に国庫補助金等特別積立金として計上する手法もユニークです。

2-3 社会福祉法人税務の特殊性

法人税法上、社会福祉法人はその収益事業から生じた所得のみに課税されます。ここでいう収益事業は、法人税法施行令第5条第1項各号に規定される34種類の事業のことを言いますので、定款上の収益事業であるかどうかは関係ありません。

また、収益事業として法人税の課税の対象となる要件には、34業種の事業に該当し、かつその「事業を継続」して「事業所を設けて営む」こととあります。この、「継続して営まれること」、「事業所を設けて営まれること」などの判断には困難が伴う場合があります。

また、34業種に該当する場合でも、社会福祉事業の保護・育成の見地等から、政策的に非課税扱いされているものも少なからずあります。

課税事業に係る収益を特定する作業、それに対応する費用を集計する作業、共通費を按分する作業も事業構造や会計制度をよく理解していないと誤りがおきがちです。

さらに、消費税計算においても、学校法人の場合には「特定収入がある場合の仕入控除税額の調整」という厄介な作業もあります。

消費税計算においても、公益法人の場合には「特定収入がある場合の仕入控除税額の調整」という厄介な作業もあります。

2-4 非営利法人業務のスペシャリスト

このような、特殊な会計制度や税務計算が必要な社会福祉法人の業務は、社会福祉法人の会計と税務に関する深い理解と経験が必要不可欠です。公認会計士や税理士の資格があれば、対応できるというものではありません。

私どもは、非営利法人の諸業務に長年にわたり関与してまいりました。非営利法人の会計に深くかかわっている公認会計士はたくさんはいません。それに加え、非営利法人の税務申告についても習熟してる公認会計士はもっと数が少なくなります。

私どもが提供する会計監査業務、税務業務、アウトソーシング業務、コンサルティング業務は非営利法人業務のスペシャリストが提供するスペシャルなサービスです。

3 会計監査業務

3-1 法定監査

平成28年3月の社会福祉法改正により、一定規模2016以上の法人への公認会計士監査の導入が確定いたしました。

今後、政令にて監査対象となる規模が規定される運びとなりますが、厚生労働省の社会保障審議会福祉部会での議論では、収益が10億円以上、負債が20億円以上の法人を対象とし、段階的な対象を拡大するとのとりまとめがなされています。

全国で社会福祉法人は19,400法人ありますが、そのうち、収益が10億円を超える法人は約1,900法人、負債が20億円を超える法人は約300法人だそうです。大監査法人はリスクの高い仕事には手を出しませんので、これらの社会福祉法人の監査業務を公認会計士業界で受けきれるか心配です。特に公認会計士の少ない地方の社会福祉法人にとっては監査難民という悩ましい事態になる可能性もあります。

優れた事務能力を有する社会福祉法人は少数派でしょう。そういった環境の中で、監査業務を請け負うことはリスクも大きく、監査に要する日数の負担も少なくないと予想しております。しかし、現実の社会福祉法人が会計上の諸問題を抱えているのであれば、公認会計士はそれを避けるのではなく、社会福祉法人に積極的にかかわり問題を解決すべきです。

3-2 任意監査

会計監査人監査導入の前年度から任意監査を導入することをおすすめいたします。会計監査は一定の内部統制が整備運用されていることを前提に行われます。内部統制上の問題が大きい場合には監査契約を締結することができないことがあります。できたとしても、内部統制の整備状況に問題が大きいほど監査日数を要しますので監査報酬が高くなってしまいます。この時期に、財務諸表や業務体制を見直し、監査可能な状態にするとともに、監査コストを低減する準備をしておく必要があるからです。

3 税務業務

3-1 税務顧問

社会福祉法人会計と社会福祉法人に特有な法人税・消費税の取り扱いのどちらにも習熟している私どもに社会福祉法人の税務はお任せください。小規模法人から大規模法人まで対応できます。コンサルティング業務やアウトソーシング業務を含むご契約も可能です。

3-2 決算業務

一般的に言って、監査法人では副業が禁じられていることから、会計監査業務を担当する公認会計士は監査のプロではあっても、自分で決算書や申告書を作成する機会はほとんどありません。そういう意味では、監査業務、税務業務、アウトソーシング業務の全てに習熟しているプロフェッショナルは極めて希少です。

私どもは、貴法人の状況に応じ、貴法人のニーズに合った形で決算業務やそのサポート業務を提供できます。貴法人がおこなった決算処理をチェックする、決算処理の一部又は全部を請け負う、決算処理を管理指導するなどそのバリエーションはさまざまです。

3-3 法人税・住民税・消費税の申告

法人税、法人事業税、法人都道府県民税・市町村民税、消費税等の申告書作成や税務代理を承ります。

3-4 給与関連税務業務

年末調整、法定調書関係の書類作成など人件費に係る税務業務を受託いたします。給与計算とセットでも単独でも受託可能です。

4 アウトソーシング業務

アウトソーシング業務は、グループ会社の「わくわく経理サポート」から、提供させていただきます。

わくわく経理サポートの特徴はこちらをご覧ください。

4-1 記帳代行業務

小規模社会福祉法人向けの業務です。社会福祉法人会計は特殊ですので、一般企業で経理の経験のある担当者でも慣れるには相応の時間と努力が必要になります。小規模社会福祉法人では、外部の業者に経理を外注することは合理的な選択です。

外注にあたって注意すべき点は予算統制の機能を十分に果たせるような態勢で外注を行うことです。試算表が2か月後にできあがるような状態では予算統制どころではありませんから。この点外注先と十分に調整しておくことが必要です。

私どもは、外注を受ける場合でも、クラウドシステムをおすすめしております。クラウドシステムを良好に運用するとタイムラグなく予算管理を行うことができます。

一般的な記帳代行のご説明はこちらからご覧ください。

4-2 給与計算業務

給与計算、賞与計算、退職金計算と給与明細書作成、給与振込、住民税特別徴収事務、その他給与関連事務の受託をしております。また、給与計算システムの導入支援や指導も承っております。

社会福祉法人の給与関連業務は、特殊な取扱いはありません。

一般的な給与計算業務の説明はこちらからご覧ください。

4-3 決算書類・財務書類作成業務

決算業務に関わらない場合でも、財務諸表や財産目録等や財務書類の作成を受託しております。お急ぎの場合もお声がけください。

なお、公益法人会計に経験の少ない会計事務所からの業務も受託しておりますので、お問い合わせをお願いいたします。

5 コンサルティング業務

5-1 会計顧問

中小規模社会福祉法人向けの業務です。中小規模法人では法人内に社会福祉法人会計に習熟した担当者がいらっしゃることの方が稀です。会計処理についてのご指導やご相談のほか、入力内容のチェックや修正も可能です。

また、日常的な業務処理態勢や内部統制の改善、業務の効率化の指導なども行います。

5-2 予算編成・統制支援業務

社会福祉法人にとって予算編成と予算統制は重要な意味を持っています。社会福祉法人の運営を予算によって統制するよう定款で規定している法人が多いからです。

官公庁の単年度予算主義に弊害も多い点については改めて指摘するまでもないでしょうが、単年度計画をしっかり立てること自体は社会福祉法人の経営にとって重要なことです。予算責任者や発注権限者が明確にルール化されていないと、予算の統制は事実上不可能です。

予算管理上有効な勘定科目・補助科目体系や事業体系の設計、見直しから、予算編成、予算統制に至るまで様々な形でサポートさせていただきます。

5-3 経営計画策定業務

社会福祉法人の運営が単年度予算主義を背景としていることから、中長期の経営計画を作っていない法人も少なくないと思います。

補助金や寄付金の増加が見込みにくい中で社会福祉法人が生き残っていくためには、中長期の法人運営の方向性を見直した計画策定が不可欠です。

経営計画策定業務といっても、私どもが計画を策定するのではなく、計画を策定するのは貴法人です。計画策定をサポートする役回りに徹しないと形だけの無駄な作業になってしまいます。

形だけの中長期計画を作っている法人、中長期計画を作っていない法人の理事・経理担当者の皆様、この機会に是非策定なさることをおすすめいたします。

また、制度改革の中で要請される留保利益の福祉サービスへの再投下計画の策定も支援いたします。

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